9月18日、今年の第4回エストニア文化セミナーは最年少講師、沖縄の高校一年生の宮下結さんにお願いしました。会場は沖縄県立図書館、その他からの参加はオンラインといういつもとは逆スタイルで開催しました。
宮下さんは2024年8月よりタリンの高校に1年間留学。正味11ヶ月の間に吸収したもの、習得したものは大きかったと充実した日々を振り返ってくれました。
滞在先がMaardu(ロシア人居住区)の温かい親日家ホストファミリーであったことは幸いだったとのこと。高校はロシア系の生徒たちが多く、休み時間もエストニア語を話すことが求められていて、中には宮下さんのエストニア語の方が優っていたこともあったとか。ロシア系の人々の間で現在の状況を学ぶ機会を得たことは、他の学校や観光だけでは得られない貴重な体験となったようです。ホストファミリーがサポートしてくれた体験が一生の宝物となったという言葉が全てを表していました。
学校では、初めなかなか現地の生徒の中に入り込めなかったが、自らトランプゲームに誘ったり、日本クラブを開設したりすることで友達ができたり、自らエストニア語の個人レッスンを頼んだり、幼稚園に職業体験したり、エストニア放送への出演依頼や地域新聞に投稿をして自分の気持ちをエストニア語で直接エストニア人に披露したことなど、その積極的な姿勢に感動したセミナー参加者も多かったことと思います。
また、体験を通して日本とエストニアの社会や国民性、教育システムの違いや、言語を通して深まる人的交流の重要性に気づいたことなどから自分自身の成長につながったと明確に述べていた姿に感銘を受けました。
最後には弟さんと一緒にエストニアのフォークダンスを披露してくださり、「またスモークサウナに行きたい、ちょーよかった!」という言葉で締めくくる、若さ溢れる楽しいトークセミナーとなりました。

10月20日実施。通常と異なる曜日時間で開催した第5回のセミナーは、エストニア大使館から紹介があった映像人類学者の来日に合わせて、早稲田大学の小森宏美教授の協力で早大生の授業の一環として北方先住民族をフィーチャーしたドキュメンタリー映画上映の機会が得られたことがきっかけでした。
講演はLiivo Niglasタルト大学教授のドキュメンタリー映像「愛の大地・Armastuse maa」上映と民族学的にもエストニアをよく知る生物・自然・民族学映像監督である岡田一男氏(東京シネマ新社・2015年第4回エストニア文化セミナー講師)による解説。
氏による上記映像解説では、「西シベリアの人口1000人に満たない絶滅危惧民族、森林ネネツの詩人、トナカイ飼育民、ユラ・ヴェッラ(1948-2013)の繁殖期を迎えたトナカイを守る、知恵を絞ってロシア巨大石油企業ルクオイルとのたたかう姿を映像人類学の観点で見つめた傑作」。
トナカイの繁殖地として代々大切にしてきたネネツの土地・環境を破壊しようと押し寄せてくる巨大な力に、たとえ個人でも抵抗できることを証明しようと奮闘する姿を、詩をまじえて静かに訴える作品でした。
会場には早大の学生90名とセミナーとして参加された方々25名ほどで満席になりました。エストニア大使館からは飲み物の差し入れもありました。
「Armastuse maa」トレーラー
https://youtu.be/wIGrFhy3eBA?si=E6q6--Z5Eo8C0RWP
解説をして頂いた岡田氏は前週にエストニアで行われた、Pärnu Film Festivalにエントリーした沖縄久高島の食文化を紹介した映画「イラブー」で先住民部門特別賞を受賞され、エストニアから戻られたばかりで、お祝いに贈られたキヒヌ島のセーターを着てこられました。

9月20日は国連の定める世界で一斉に地球のごみを拾ってクリーンアップするWORLD CLEANUP DAY (世界クリーンアップデーとも称されている)でした。主催本部はエストニアの首都タリン市にあります。
2018年に当協会が発起人となって始まった日本におけるWORLD CLEANUP DAYは今年で8回目となりますが、2022年からはNPO法人WORLD CLEANUP DAY JAPANが中心となって街、川沿、海岸のごみを拾って世界と繋がろうと呼びかけています。9月のWORLD CLEANUP DAY月間には全国約600ヶ所でクリーンアップ活動が切り広げられました。
当協会は国連国際デーに渋谷駅近から記念行事が行われた国連大学までと、国立市で開催されたクリーンアップ活動に参加しました。国連大学会場では、吉野会長が日本の活動はエストニア大使館からの要請を受けて、日本・エストニア友好協会が先導して始めたことを強調、国立市では長谷川顧問と北岡顧問が国立市長と対談しました。

エストニアのSAKU町と姉妹都市を結んでいる長野県佐久市は、2005年に旧佐久市、臼田町、浅科村、望月町の4つの自治体が合併して大きくなった現在の佐久市が誕生して20周年ということで遺年をかけて新佐久市誕生20周年記念事業が行われていました。9月28日、そのクロージングイベントとして、エストニアのSAKU町から招聘された混声合唱団Tuljakのコンサートと女性の活躍をテーマにしたパネルディスカッションが行われ、当協会から会長と事務局長が友好団体代表として、在日のエストニア人の皆さんと共に招待され、柳田市長はじめ市の代表の方々にお祝いを述べてきました。

次回は2024年11月16日、東京都国立市で開催されている「くにたち映画祭2025」で上映するエストニアとジョージアの共同制作映画「みかんの丘・Mandariinid」の鑑賞とこの映画の背景の解説をいたします。これまで「くにたち映画祭」で「歌う革命」、「1944」を解説付きで上映してきました。定番になってきましたので、今回から日本・エストニア友好協会主催とし、11月のエストニア文化セミナーとすることになりました。
今回の映画は2015年にアカデミー賞やゴールデングローブ賞の外国語映画部門にノミネートされた秀逸作品です。
タイトル: みかんの丘
日 時: 11月16日(日)
開 場 12:00
上 映 1 13:00. 〜
解 説 1 14:30 〜
休 憩 入れ替え
解 説 2 16:00 〜
上 映 2 16:30 〜
講 師: 解説1 小森宏美氏 早稲田大学 教授
解説2 吉野忠彦氏 日本・エストニア友好協会会長
申し込み: koides@pc5.so-net.ne.jp
参加費: 1,000円
*すでに国立市民で満席近くなっていますのでまずはお問い合わせください。
くにたち映画祭 公式告知
「みかんの丘」 映画作品情報
今年もエストニアのクリスマス料理を作りながら、食べながらエストニア大使館の皆さんと一緒に一年を振り返る時を持ちたいと思います。
第1部は皆んなでエストニアのクリスマス料理作り、第2部は出来上がった料理を囲んで、歌やおしゃべりで楽しく過ごしましょう。ぜひお集まりください!
日 時: 12月7日(日) 11:00〜13:00 エストニア料理に挑戦
13:00〜14:00 会場作り
14:00〜16:00 クリスマスパーティ
会 場: パティア虎ノ門店
会 費: 会員 4,000円 会員外 4,300円 会員外学生 2,300円 小学生以下無料
申込み: Peatix こちらから または事務局eesti@j-efa.com
ユーロビジョンでファイナルにも残った、エストニアで人気のデュオ来日公演です。
ヒーウ・カンネルによる伝統音楽と現代音楽の狭間を行き来する、個性的な音楽で世界を魅了しているバンド。
東アジアツアーの中で初の東京公演と2回目の沖縄。滅多に聴けない、エストニアの音楽シャワーです。
ちなみにPuu Luupとは 木のルーペ(虫眼鏡?)のこと。
チケットは各サイトでご購入ください。
11月27日(木) 東京・月見ル君想フ 19:00開演 前売り 5,500円
11月29日(土) 那覇・桜坂劇場ホールB 18:00開演 前売り 4,000円
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エストニアの首都タリンを舞台にした演劇のご案内。
12月、イギリス演劇界の奇才 サイモン・スティーヴンスが描く、現代社会の闇を深くえぐる衝撃作『スリー・キングダムス』が日本で初めて新国立劇場で上演されます。この作品、ヨーロッパ全土に広がる国際的な犯罪組織をイギリスの刑事が捜査するストーリーなのですが、ロンドンからドイツ、さらにエストニアのタリンに舞台が広がっていきます。当協会理事で桜美林大学の大中真教授が出演者、スタッフの皆さんにエストニアについて講演しました。
イギリス公演では、英語・ドイツ語・エストニア語で上演されリアル感があったかと思います。日本では日本語ですが、エストニアを知っている協会会員の皆さんには他の観客とは異なった目でタリンの場面を興味深く見ることができると思います。
俳優陣も豪華な顔ぶれで、舞台と一体となって楽しむことができる作品のようです。
12月
詳しくは:https://www.nntt.jac.go.jp/play/news/detail/13_030091.html

10月19日、エストニアで地方選挙がありました。
祖国党(Isamaa)が18.6%の得票率を獲得し、4年前の10.2%を大きく上回る最大の勝利を収め、社会民主党 (
Sotsiaaldemokraadid)は2021年の4.9%から9.9%へと得票率を倍増させた一方、「アクチュアル・カメラ」紙によると、与党である改革党(Reform)の得票率は17.3%から10%に、連立与党の小政党 Eesti200党は、全国でわずか1.7%の得票率にとどまり、ほぼ壊滅状態に陥ったようです。野党のEKRE党も支持率を13.2%から8.2%へと大幅に低下させて最大の敗北を喫し、タリン市議会では議席を一つも獲得できなかったとのこと。
与党は、最近の世論調査による支持率も過去最低のを記録していたようで、少し前の日本のような気もしないですが、いかがでしょう。
出典:ERR.ee
