2月24日は、1918年にロシア帝国から独立をし建国を果たした日であり、今年は107年目にあたります。東京ではエストニア大使館主催で明治記念館で2月27日に記念レセプションが開催されました。松本外務省政務官はじめ議員連盟、デジタル省、防衛省やウクライナ大使など各国大使やビジネス関係者、姉妹都市提携市関係者や当協会のように文化交流を推進している組織代表、個人的にエストニアとの交流に尽力している方々が招待され集い、107回目の独立記念日を祝いました。
両国国歌拝聴の後、冒頭の挨拶でマイト・マルティンソン大使は、3年前のエストニア独立記念日(2月24日)に言及、エストニアはウクライナに全面的な支援を約束していることを表明しました。
当協会からは会長はじめ理事、顧問、会員など20名が招待され、在日のエストニア人の皆さんも久しぶりの再会を大いに楽しんでいました。
2月7日に到着したエストニア国立男声合唱団 (通称RAM・Rahvusmeeskoor) は疲れた様子もなく、翌8日は東京公演としてすみだトリフォニーホールで素晴らしい歌声を披露しました。
第1部はメンデルスゾーンやペルトなどの宗教曲6曲。
続いて第2部はスピリチュアルな5曲。トルミスの「大波の魔術」に続いて「鉄の呪い」は迫力あふれるもので、やはり本物という貫禄に溢れていました。日本人の作曲家2曲も、この合唱団ならではの魅力ある演奏。動きのある曲は「てんまかい」堅田優衣さん作曲の奄美の八月踊りを表現した作品。聖霊を招き、先祖と神様と共にいる空間という幽幻な世界が繰り広げられました。そして「夕焼け小焼け、お月さま」では、前回2018年の東京公演の直前に他界された元この合唱団員だった故西村英将さんの編曲作品。
最後の会場全体に広がって歌った、ボナートの「深き平安」では、間近で歌っている生声を聴くことができ、さらなる感動。静かに、微かに、でもしっかりとした息の長い歌い方は日頃の訓練の賜物です。
さらに、10日、11日は上野文化会館で東京都交響楽団+バスソロ+男声合唱共演。
第一部はラフマニノフの「死の島」に第二部ショスタコーヴィチの「バービィ・ヤール」。バービィ・ヤールはウクライナ・キーウ近くにある峡谷の名で、独ソ戦中にナチがユダヤ人を大虐殺した地だが、詩人エフィトゥシエンコがソ連におけるユダヤ人問題の象徴として詩を発表、さらにショスタコーヴィチが曲をつけ、度重なる妨害工作を受けながらも発表にこぎつけた反体制的作品。ショスタコーヴィチ没後50年記念の今年にふさわしい内容の意味深い素晴らしい公演でした。ロシア語で歌われました。
演奏後は拍手鳴り止まず、都響の桂冠指揮者のエリアフ・インバル氏が合唱指揮のミック・ウレオヤ氏とソリストのシュカルパ氏とともに何度も登場しては楽団員と合唱団員に拍手をしましたが、特に合唱団の拍手には「ブラボー!ブラボー!」の声があちこちから起こり、それだけ聴衆の心を掴んだことがわかりました。
団員たちが全てステージからはけたところで、指揮者とソリストが再登場すると、観客がドッとステージに集まりスマホ撮影する光景がしばし続きました。観客の感動ぶりがわかる演奏会でした。
終演後、大使館主催の慰労会が精養軒で行われ、関係者への感謝の歌を歌ってもらえました。間近で聞く団員の声は腹の底まで響く声でした。
全員、健康を害することもなく、今日無事帰国の途につきましたが、時差ボケが解消する前に帰国という感じの短期のツアーでした。
協会としては会場でエストニアの紹介をしたり、合唱団の代表者との会合に出席して交流を深めました。
エストニア帰国後、RAMの皆さんはタリンの日本大使館を訪問、中村在エストニア大使に東京公演の報告をしました。3月27日、一時帰国された中村大使は、後日談としてRAMの演奏を間近に聴いて感動なさったと吉野会長に語っておられました。
日本大使館サイトから
3月1日、荒井事務局長は三重県伊勢市の合唱団ソルシエールを訪問しました。この合唱団は、EU文化首都事業を通して日本と欧州の文化交流を支援しているEUジャパンフェスト日本委員会からの紹介でエストニアとの交流を企画し、当協会が交流先のエストニアの合唱団の指揮者を紹介した経緯があります。タリンの少女合唱団Estonia TV Girls’ Choirの指揮者Aarne Salveer氏とタルトゥの児童合唱団Laulupesaの指導者3名が来日し、ワークショップやコンサートを通して合唱団ソルシエールの中学生たちと楽しく交流していました。
今回の伊勢市での交流会では、エストニア訪問前の学習会として、歌の力でソ連からの独立を果たしたドキュメンタリー映画「Singing Revolution
(歌う革命・当協会訳の字幕つき)」の上映会も行われました。また、Laulupesaの指導者たちによるエストニア料理も振舞われていました。
今年8月にはソルシエールの皆さんはエストニアに行き、来年はエストニアの合唱団は日本に来て青少年音楽祭という形で交流を深めることになっています。両国の若い人たちの交流が大いに盛んになることを願いましょう。
今年度もさまざまなジャンルでエストニアを学ぶセミナーを提供してまいります。できる限りオンライン配信も含めたハイブリッド方式で開催していく予定ですが、事務局の力不足で満足行く配信がなされないこともありましたので、関東近隣の会員の皆様は、ぜひ会場にてご参加ください。
2025年度第1回エストニア文化セミナー
日 時: 5月8日(木) 19:00-20:30
会 場: 渋谷インクルーシブシティセンター〈アイリス〉 会議室1
渋谷区文化総合センター大和田8階
タイトル: 第28回歌の祭典の舞台裏
講 師: 上田絢香氏(タリン市在住合唱団指揮者)
内 容: コロナ禍を経て1年遅れで今年7月に開催される歌の祭典(Laulupidu)の準備から練習の様子など、大きな祭典の舞台裏をお話しいただきます。
料 金: 会員1,000円 学生会員 500円
申し込み: Peatix https://peatix.com/event/4371570/view
2025年第2回エストニア文化セミナー
日 時: 6月26日(木) 19:00-20:30
会 場: 渋谷区文化総合センター大和田2階 学習室7
講 師: 松村之彦前駐エストニア日本国大使
詳細は追ってお知らせします。
新年度総会を下記の通り執り行いますが、その前に総会資料を会員の皆様に郵便にてゴールデンウィーク後にお送りします。資料と一緒に出欠の葉書(欠席場合はこれが委任状になります)をお送りしますので、必ずご返信ください。また、年会費納入のお知らせを同封いたしますので、よろしくお願いします。
日 時: 5月25日(日) 15:30-18:00 15:15受付開始
会 場: Hyvää Matka (ヒュバ・マトカ)
東京都渋谷区神宮前5丁目18−10 エクサスペース
当協会法人会員フィンツアーさんのお店です。
茶話会費: 1,100円
シナモンロールにコーヒー またはエストニアハーブティー、カレフのチョコレートのおまけ付き
通常5年に一度開催され、UNESCO世界無形文化遺産に登録されている「歌と踊りの祭典」(Laulu ja Tantsupidu)ですが、コロナ禍の影響を受けて、一年遅れて6年ぶりに来る7月3日から6日の日程で開催されます。
歌の祭典は1989年から数えて28回目、ダンスは21回目の開催となります。全国から選ばれた子供から大人の合唱団、ブラスバンド、民族舞踊団4万人が晴れの舞台に立ち、海外在住のエストニア人や海外の合唱団も参加します。日本からは和歌山児童合唱団が参加すると聞いています。
独立を願っていた1980年代には30万人が集った歌の祭典会場Lauluväljakと踊りの祭典会場Kalev Central Stadiumに何人来場したかは、翌日の新聞で発表されます。今年は10万なのか、20万になるのか?
ハイライトは5日。タリン旧市街前から歌の祭典会場まで役7kmのパレードが行われ、沿道の人々とともに祭典を祝し、小さな子供達も民族の団結を学んでいく様子は、この国の結束の絆の強さを感じます。エストニア好きの会員の皆さんにはぜひ見ていただきたい国挙げての行事です。
会員の中にも旅行会社の方がおられます。「歌と踊りの祭典」に行ってみたいと思われる方はご紹介できますので、事務局までお問い合わせください。
中村在エストニア日本大使が、タリン市郊外にある長年日本語を教えているヤルヴェオッツァ高校を訪問し、当協会が寄贈した桜の様子を見られたと日本大使館のFacebookに投稿がありました。
エストニアに咲く大蝦夷山桜は気候を考慮して、25年前に当時当協会本部があった、北海道の釧路から空輸した苗木でした。当時ヤルヴェオッツァ高校で日本語を教えていた、故山本英二理事夫妻の発案で始まった「さくらプロジェクト」を本部役員(当時)を中心にして寄付金を集めて盛り上げ、会員の植木職人のタリン訪問、指導してタリン植物園の協力で根付かせることができました。
現在では、ヤルヴェオッツァ高校だけでなく、タリン市旧市街にある日本大使館前、カドリオルグの日本庭園、日本語クラスのあるタルトゥ大学構内、タリン植物園などに植えられており、蕾を膨らませています。5月のエストニアの観光名所にもなっています。
さくらプロジェクトの詳細はJEFAホームページ
に掲載されています。
https://j-efa.com/history/index.php?eid=00001