
現在は近代化された国家となっているフィンランド、エストニア、ハンガリーが、ユーラシアの狩猟・漁撈・遊牧を生業とするフィンウゴル語民族を祖先に持つことをご存知の方は多いと思います。しかしながら、この3つの国の人々以外にもフィンウゴル系のさまざまな民族がロシア各地に今も点在していることは、ご存知でしょうか。
エストニアがソ連と決別し主権を回復した際、大統領に指名され国家再建に献身した、レンナルト・メリはシベリアで過酷な強制収容所生活を送っていた少年時代に、先住民の語る言葉に自国語と共通するものがあることに気づき、フィン・ウゴル語への関心に目覚め、ユーラシア全域のフィン・ウゴル系諸民族の壮大な民族誌を映像化し、映像を通じてハンティやマンシなど北方先住民の環境保全の闘いを支援しました。
その流れを汲んだ現代の映像人類学者リーヴォ・ニグラス氏(1970年生まれ、タルトゥ大学)が、この度、網走での北海道立北方民族博物館主催のシンポジウムに来日されます。東京でも上映会をとのエストニア大使館の希望を受けて早稲田大学の小森宏美教授と生物学・自然誌・民族誌などの科学映像制作者である東京シネマ新社の岡田一男氏の協力のもと、早稲田大学構内で、氏の代表作である「愛の大地・Armastuse maa」78分 2016年 を日英字幕併記で本邦初公開致します。
この作品は、西シベリアの人口1000人に満たない絶滅危惧民族、森林ネネツの詩人、トナカイ飼育民、ユラ・ヴェッラ(1948-2013)の繁殖期を迎えたトナカイを守る、知恵を絞ったロシア巨大石油企業ルクオイルとのたたかいを映像人類学の観点で見つめた傑作です。
愛の大地予告編 https://youtu.be/Aq6JYJysHWc
上映会詳細は下記の通りです。
作品:「愛の大地」78分上映とリーヴォ・ニグラス氏の挨拶
日時: 10月20日(月) 15:00-16:45
アフタートーク: Q&A(17:00-17:45 学生さん退出の後 同会場で)
会場: 早稲田大学早稲田キャンパス 16号館106教室
構内図: https://www.waseda.jp/inst/wias/assets/uploads/2021/05/Waseda-Campus-Map_20200923.pdf
申し込み: eesti@j-efa.com (申し込み締切 10/19)
なお、この上映会は小森教授の授業の一環として開催されます。106教室では、直前まで他の授業が行われているため、早めにお越しの方々は、16号館1階、教室向かいの学生ラウンジで14:50開場をお待ちください。