平成18年3月31日 釧路新聞記事全文

はるかエストニアに釧路の友好のサクラ 友好協会が寄贈
現地で定着確認 竹川さん


 バルト三国の一つエストニア共和国と日本との交流を釧路市拠点に進める、日本エストニア友好協会(本部・釧路市、中村正利会長)が1999年と2004年に、同国に寄贈した釧路産エゾヤマザクラ約400本の保守のために、苗木を釧路から発送した竹川造園(釧路市旭町)代表の竹川広平さん(48)がこのほど、同国に招かれた。

 竹川さんは、現地でサクラの定着を確認。釧路から投げ掛けた小さな交流の苗木が、はるかエストニアを彩る花木へと成長している。

 日本エストニア友好協会は、エストニアに留学経験を持つ釧路市在住の岡田洋一さん(現同協会事務局長)と、岡田さんとの結婚で32年前から釧路市で暮らすエストニア人のシーリエさん夫妻の友人らが呼び掛け1992年に発足。全国に約300人の会員を持つ。99年には両国の友好の証としてエストニアにサクラを咲かせようと「桜基金」を設立。全国からの拠出金を基に99年と04年に各200本を同国に贈った。苗木は、首都タリン市の国立公園「カドリオルグ公園」やタリン植物園、日本大使館、国内の小中学校や日本人学校などに植えられた。
 
 今回タリン植物園から招かれた竹川さんは、14日に日本をたち、ほぼ1週間滞在。同植物園をはじめ、国内各所に植えられたエゾヤマザクラの成長の様子を視察した。

 竹川さんによると、エストニアは気候が釧路と似ていて、苗木は大きいものでは高さ2.5mから3mほど、太さ20cmほどまでに成長していた。現地での話によると昨年春には、それぞれ見事な花を咲かせていたという。

 「木は既に現地になじみ定着していた。苗木の発送には、200本を1本ずつ丁寧に土をはらい新聞紙でくるむなど、大変な苦労をしたので、順調な成長は大変うれしい。エストニアは、造園技術が先進的で、学ぶことが多かった」と竹川さん。

 現地では、ほぼすべての視察に元日本大使が同行するなど国賓級の歓迎を受けたと言い、「友好協会の長年の交流活動の重さを実感した。釧路から始まった住民活動が、国相手の交流活動に広がっていることを誇りに思った」と話している。

 5月までには、「友好の桜」と記したプレートを同協会の岡田事務局長が釧路からエストニアに届け、日本大使館前のサクラに掲げる予定だ。
タリン市内の小中学校に咲いたエゾヤマザクラ(昨年5月)    タリン植物園を視察する竹川さん(右端)